今回は、総合診療部で翻訳した本のご紹介です。
昨年10月に出版された
『緩和ケア総合診療マニュアル』(プリメド社)
ゲイリー・ジョハンソン 著
小泉俊三 監訳
佐賀大学医学部・総合診療部 翻訳
です。
人は誰でも100%亡くなるわけで、その時期が早く来るのか遅く来るのかの違いはあるにせよ、誰しもなるべく苦しまずに死にたいと思っていると思います。
人が死を目前にひかえた一定の期間のことをターミナル(ステージ)や末期と呼ぶことがありますが、このターミナルステージをより豊かなものにするためには、
痛みをはじめ様々な症状を和らげる(=緩和ケア)ことが必要不可欠です。
僕らが翻訳したこの本は米国の緩和ケア専門医が書いた緩和ケア診療に関するもので
『Clinicians Handbook of Symptom Relief in Palliative Care』という本の第5版になり、米国では2007年に出版されています。
同書の第4版は1994年に出版され、その翻訳も佐賀大学医学部附属病院・総合診療部で行い1998年に『ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル』というタイトルで出版されています。
僕がホロカナイに赴任する前の2005年に著者であるゲイリー・ジョハンソン先生を米国カリフォルニアのサンタローザに訪ね、ジョハンソン先生のホスピスや在宅診療などを見学させていただいたこともあり、編集をさせてもらいました。
翻訳は医局の先生を中心に、佐賀大学病院の小児科や緩和ケア科の先生や看護師さんを含む18名で分担して行いました。
緩和ケアにおける様々な症状ごとに章が分かれていて、わかりやすく臨床で使いやすくなっています。
米国の本なので、薬剤の投与量は米国におけるものですが、注釈で日本での投与量も書いています。文献や役立つサイトのURLも載せています。
目次は次のとおりです。
1)ホスピスと緩和ケア 2)コミュニケーションについて 3)痛み 4)悪心と嘔吐 5)食欲不振と悪液質 6)便秘 7)下痢 8)腸閉塞 9)呼吸困難 10)咳そう
11)抑うつ症状 12)不安とせん妄 13)耐えがたい苦痛 14)不眠 15)尿路の症状 16)皮膚と口腔のケア 17)小児の緩和ケア 18)末期HIV感染症
19)末期がんでのステロイド使用 20)持続皮下注入 21)侵襲的鎮痛法 22)その他(痙攣、かゆみ、しゃっくり、高カルシウム血症など)
となってマス。
医学生や研修医、医師、看護師の皆さんにもおすすめです!
以下、出版社(プリメド社)の紹介文です。
『種々の苦痛に幅広い視点でアプローチする緩和ケアマニュアル』
米国のホスピス緩和医学専門医が,がん末期に伴うさまざまな苦痛緩和を紹介。著者の長年にわたる経験から得られたあらゆるスキルを紹介するとともに,ケアに必要な心構えまでも網羅。豊富な項目と充実した内容にもかかわらず,箇条書きにしたコンパクトな解説文とすっきりしたレイアウトが読みやすい。
”プライマリケアと患者支援の医学書出版”プリメド社HP http://www.primed.co.jp/index.html
(さかにし)
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