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2011年10月23日日曜日

総合を実習した学生さんの感想を紹介させていただきます.


<外来カンファに対して>

先生方の前で毎日プレゼンをするという経験は今までの科ではなかったので、最初はプレゼンの内容や言う順序を考えるのにとても時間がかかり、昼休みを費やしていました。しかし、毎日繰り返すうちに話す手順はもちろん、強調すべきところと省略すべきところの違いが少しずつわかるようになり、さらに、自分なりにアセスメントしたり、プランを考えたりできるようになりました。

先生方が温かく聞いてくださり、プレゼンに足りない点を指摘してくださるので、次の日にすぐまた生かすことができて毎日自分の成長を実感することができました。研修医になってからもですが、これからの医師としての人生でプレゼンテーションは絶対に不可欠な技術だと思うので、本当に感謝しています。

<学生カンファ(PBL方式)に対して>

実際その日に総合外来に来られた患者さんの症例に対してPBLを行うことで,みんなで症例を共有できたと思う。自分が患者役になってほかの学生に質問されるときに、このことを聞いてほしいのになぁということがいくつかあり、実際に自分が問診をするときのヒントになったと思う。

<病棟実習(身体診察)に対して>

聴診するとき、はじめは何も考えずにするとあまり異常が感じられなかったけれど、先生から心雑音が聞こえると教えてもらって聞くと確認することができたので、異常がないか疑いながら注意して聴診することが大切だと思いました。

<バイタルサインのレクチャーに対して>

実習が始まったばかりの時は問診をとるだけで精一杯でした。しかし、この講義でバイタルサインの重要性がわかり、自分で患者さんの脈をとったり呼吸数を数えてみようとするようになりました。そうすると、それまでは気づかなかった呼吸の浅い深い、脈の強さ、四肢の観察まで気になりだして身体所見がより充実するようになりました。

講義の中で特に印象的だったのは体温と心拍数の関係のところです。この講義があった日にたまたまwebカンファレンスでレジオネラ肺炎の症例を習っており、その症例も比較的除脈だったので実際の症例とセットで覚えれて二度と忘れないなと思いました。また、その日熱がでていた友達の脈を数えて、「今の体温はだいたい何℃くらいだ」などと推測したりして講義内容がすぐに役に立ったのでとてもうれしかったです。

今まで、発熱と聞いたら、安易に感染と考えていましたが、そうではなく、その他の疾患を忘れないようにしなければならないと思いました。特に薬剤は忘れやすいので気をつけようと思いました。また、発熱も単に発熱と片付けるのではなく、寒気の有無や熱型なども聴くことに気をつけようと思いました。今まで呼吸数ついてあまり気にしていませんでしたが、バイタルから得られる情報は多いとしり、これからは忘れないように気をつけます。

<身体診察のレクチャーに対して>

患者さんの様子や顔や手をみただけで多くの病気を診断できることを学び、自分が普段患者さんの話を聞くことで手一杯で、患者さん様子をよく見ていなかったことに気付くことができ、これからは話を聞くだけでなく、しっかり患者さんの様子を見て、また診察で見逃しやすい診察を忘れないように心がけていこうと思いました。

これまでの実習ではいつも、診断がすでについていて、その疾患名からでてくる症状を確認する作業しかできなかったので、あと1週間の総合診療部での実習で少しでも多くの身体所見を自分で発見して、そこから疾患を想起できる練習ができたらなと思います。

<地域医療にレクチャーに対して>

主に坂西先生が北海道幌加内町で体験した地域医療を例に、プライマリ・ケアや地域医療についての講義をうけました。現在自分たちが実習をしているような大学病院を受診する患者は、病院に行く患者の約1/250で、一般的な患者(疾患)ではないということ、一般的な疾患が幅広く診れるような医師が不足しているいうことを学びました。

私の地元は○○県の田舎で、幌加内町ほどではありませんが、同じく地域医療を必要としています。今回の東日本大震災などの災害の場でも、即戦力として必要とされるのは、幅広く患者を診れる医師だと感じました。自分が将来どのような医師を目指して、そのためにはどのような知識や技術が必要とされるのか、改めて考える機会になりました。

<その他,実習全体を通しての感想>

問診やショートプレゼン、学生カンファなど、実際に自分たちが参加できることがとても楽しかったです。

これまで実習で回ってきた科との大きな違いは、診断に至るまでの過程を学んだことでした。今まではほとんどが治療の勉強だったので、より実践的で興味深く感じました。

「患者さんからお話しを聴く」「鑑別診断を考えて治療を考える」「プレゼンする」
これらは医師として絶対に必要な技術ですが、これまでは1科で1~2回しかできなかったために向上している実感があまりありませんでした。ひたすらこれらを毎日繰り返した総合診療部での実習は自分の成長を感じられてとても毎日が充実していました。身体所見のとりかたも今まで知らなかったことをたくさん教えていただき、視野が前より広がった気がします。


※ 感想の一部を抜粋しました.

                      総合 : 吉 岡   

                            

2011年10月19日水曜日

かなり久しぶりに投稿させていただきます.

今回は総合診療部の5年次生臨床実習の教育について紹介したいと思います.

総合診療部では以前より教育に力を入れており,総合診療部出身の小田先生や江村先生が,学生教育および研修医教育で活躍されています.
もちろん,5年生の臨床実習(ポリクリ)でも教育に力を入れており,午前中は外来実習として学生に初診患者の問診をとってもらい,その内容を担当医にプレゼンテーションし,鑑別疾患を考えてもらいます.鑑別疾患を想起した上で,医師の問診と診察を,また医師が検査・治療方針をどう決めるのかを見学してもらっています.そして昼の外来カンファレンスで再度プレゼンテーションしてもらい,ドクターを中心に討論しています(さすがに学生には討論に参加するだけの知識が十分にありませんが,いろんなドクターの考えを聞いて学ぶことができます).

問診をとるだけでも,医療の一翼を担えたという充実感が得られるため,この外来実習に対する学生からの評価は高いです.また実際の症例はPBLで習うような典型的症例とは違い,学生にとって新鮮なようです.

最初は0~2個しか鑑別疾患を挙げられなかった学生が,2週間目には4つくらい(?)は鑑別疾患を挙げられるようになり,問診も落ち着いて聴取でき,そつなくプレゼンテーションができるようになると,教育する側としても学生の成長を目の当たりにすることができ嬉しくなります.このような外来実習は佐賀大学総合診療部の誇るべき特徴であり,今後も大事にしたいと考えています.

午後は主に講義を取り入れており,まずは医療面接のコツ(挨拶,信頼関係の構築)から問診のコツ・診断のコツ(診断推論)を講義し,特に問診の重要性を強調しています.問診だけで7~8割方診断をつけ,感度・特異度の高い身体所見と検査所見を用いて確定・除外診断することを教えています.近年の医療界では安易に検査を行う傾向がありますが,問診と身体所見を大切にし,検査をするにしてもしっかりとした目的を持って検査を行うよう指導しています.

他にも,今まで当たり前すぎて教育されてこなかったと思われる,プレゼンテーションのコツやバイタルサインのとらえ方,身体所見のとり方もレクチャーするようにしており,市中病院でプライマリ・ケアを実践している先生方の協力も得て,症候学や感度・特異度のレクチャーをしてもらったり,プライマリ・ケアの実際を学生に紹介してもらっています.
さらに空いた時間に病棟実習として,総合診療部に入院している患者さんの診察を医師と共に行うことで,身体所見のとり方などの実技指導も行っています.

このような総合診療部の実習に対する学生の評価は非常に高く,学生のアンケート調査でも他科と比べて突出した評価を得ています.今後も医局員と共に,よりよい実習にしていきたいと考えています.

(学生実習のスケジュールも貼り付けておきます)

追記:
学生実習だけでなく,研修医への教育にも力を入れており,上記内容だけでなく,実際の臨床現場で役立つ研修医向けのレクチャーを毎週のように行っています(今後は全研修医向けのレクチャーにしたいと考えています).

                                         吉 岡


2011年10月11日火曜日

日本プライマリ・ケア連合学会の秋季セミナーに参加しました

 

連休中に東京のお茶の水で開催された日本プライマリ・ケア連合学会の秋季生涯教育セミナーに参加してきました。

 

僕は1日しか参加できませんでしたが、2日間に渡り様々なレクチャー、ワークショップがありました。

定員制のため事前申し込みが必要で、特に人気のコースは早めに定員になってしまいます。

 

僕は、『ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics )を体験しようーALSO-Japan デモンストレーションコースー』と『高齢者の身体診察』に参加しました。

 

ALSOは産科におけるACLSと言ったもので、周産期救急の基礎を学ぶ本来のコースは2日間になりますが、今回はそのminimal essence ということで3時間で「正常分娩」「肩甲難産」「分娩後大出血」についてのレクチャー&実技がありました。

 

分娩について、じっくり習ったのは学生以来だったので、とても勉強になりました。

 

米国では、地域によっては「家庭医」の先生がお産を扱うこともあるそうです。

日本では、さすがにプライマリ・ケア医が直接扱うことはないと思いますが、離島・へき地や飛行機内など緊急時は関わる機会がないとは言えません。

 

BLSACLSのように学生や研修医時代に全てのひとがALSOコースを受けられるといいなと思いました。九州では長崎医療センターで開催されるそうなので、僕も本コースを是非受けたいと思います。
 
ALSO-Japan についてはこちらを http://www.oppic.net/item.php?pn=also_japan.php
 

 

『高齢者の身体診察』はドクターGでおなじみの水戸地域医療センターの徳田安春先生によるワークショップでした。

 

症例ごとに参加者が31組でディスカッションしながら、ワークショップが展開されました。

今回は高齢者でおさえておくべき身体所見について、様々なパールが惜しげもなく伝授されました。

 

身体診察ってほんとに奥が深いと思いました。内科って楽しいです。

資料もたっぷりいただいたので、しっかり復習して佐賀の学生・研修医にも伝えたいと思います。

 

秋季セミナーでは同時開催で震災シンポジウムもありました。

レクチャーの都合で、残念ながら参加できませんでしたが、当講座のスタッフが参加してくれたので間接的にその内容を聞きました。

震災の現場は、現在は避難所から仮設住宅での生活・医療サポートが課題となっています。

日本プライマリ・ケア連合学会の東日本大震災支援プロジェクト(PCAT)については、こちらhttp://www.pcat.or.jp/ をご覧ください。
医学生の参加も可能で、佐賀大学医学部の学生さんもこれまでに3名参加してくれています。

 

次回は11月に大阪で秋季生涯教育セミナーが開催されます。

ぜひ、多くの方に参加してもらいたいと思います。

http://www.primary-care.or.jp/gmeeting/c_seminar20111105.html

 

(坂西雄太)