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2012年1月29日日曜日

年末年始に実習に来た学生さんの感想を少しばかり.


本当に医者の少ない地域では、総合医が絶対必要だということがよくわかりました.

私が入学時に目指していたのは、「患者さんと良い関係が築ける地域医療」だったことを思い出しました。大学病院は患者さんの数%しか来ないということを聞き、専門に詳しいのももちろん大切で必要なことだとは思いますが、専門外のことでも自分で診ることのできる医師になりたいと思いました。

一番感じたこととしては、患者さんには様々な人がいることを経験できた。医療に対する考え方や求めているものを始めとして、症状や疾患に対しての向き合い方、治療に関しての協力する姿勢など、一人ひとりが全く異なることを、直接に経験できた。

実習前は総合診療部についてあまりイメージがわきませんでしたが、2週間の実習を通してとても魅力的な診療科だと思いました。


実習を通して,総合診療部を理解してくれるのは嬉しいです.
                                        総 合 : 吉 岡

2012年1月19日木曜日

教授着任のご挨拶

 平成24年1月1日付けで佐賀大学附属病院総合診療部の教授に着任いたしました、山下秀一です。
国立大学で最初に総合診療部が設置された、歴史のある教室の責任者としての責任を、今ひしひしと感じています。私は宮崎医科大学を卒業した当初より、救急もこなせる総合内科医を目指してトレーニングしてきました。神経内科や呼吸器科も得意分野です。

 今、地域医療は危機に瀕しています。入院患者や救急患者を管理できる内科の医師が不足していますが、私には問題はさらに深刻に思えます。というのは、一般内科という概念自体があやしくなってしまっている様に見えるからです。
たとえば、肺炎の患者さんの入院を依頼すると、呼吸器科の医師がいないという理由で断られたりすることがあります。肺炎は一般内科の疾患であるという常識が通用しなくなってしまった様です。このような事態が各所で見られます。

 地域医療を立て直す切り札のひとつが総合診療部の充実です。それぞれの医師が得意分野を持ちつつも、専門に偏りすぎず、内科一般を広くカバーできるようにトレーニングし、ある程度の重症度の入院患者まで、腰を強く診断し治療できる能力を獲得できるシステムが理想的です。このような医師をたくさん育てたいと強く願っています。

 総合内科と言えば、問診だけで診断する能力、内頸静脈の拍動の視診といった理学所見をとる能力、さらにはグラム染色などの細菌学的な検査がすぐに思い浮かぶと思います。いずれもとても重要なことだと思います。しかし、感度や特異度が今一つである問診や診察のみに頼ったり、患者から離れた場所で行うことになり、技師でもできる検査にあまりにも大きな重点を置くよりは、救命救急の手技や心臓や腹部の超音波や消化管内視鏡、気管支鏡といった、患者に直接施行する検査に一定以上の時間を割いてトレーニングすることが、しっかりした総合内科医になるためにはとても大切です。将来的にその手技を行わなくなり、他の医師に依頼するようになっても、ある程度しっかりとトレーニングしていれば、人の技術の良し悪しの判断も的確になります。

佐賀大学の地域医療支援学講座では、すでに循環器や消化器などのいろいろな内科の分野を1年程度ずつかけて、完成する総合内科のコースを実施しています。この素晴らしいシステムを継続し、内科全般に関して広く経験を積み、主要な検査や治療手技も一通りこなせる、レベルの高い総合内科医を育成することが目標です。

ぜひ多くの若い人に我々のプログラムに参加していただきたいと思っています。
地域医療をさらに発展させ、住民が安心して暮らせるようにするために、やる気のある若いエネルギーを求めています。
(山下秀一)

2012年1月18日水曜日

病院総合医セミナーの報告

明けましておめでとうございます.

今年,最初の投稿とは気が引けますが,1月14日に参加した病院総合医セミナーの報告をさせていただきます.

第1部はアメリアで実際にホスピタリストとして働いている石山先生のお話.
(1997年卒で,最初は外科医として研修された異色の経歴の持ち主でした)

アメリカでは今まで家庭医が入院診療も行っていましたが,さすがに時代の流れなのか分業になったようです(家庭医はオフィス診療に専念し,入院はホスピタリストが担当する).
実際のホスピタリストの仕事内容を聞いたのですが,その内容は私たち総合医がやっている診療内容とほとんど変わりませんでした(クリニックから紹介された患者さんの入院加療・退院計画などをマメジメントする).

アメリカの病院でもコメディカルやSWの協力が大事で,それらをコンダクトするのがホスピタリストの役割とのこと.他にも研修医に対する教育の役割が大きいようです.
アメリカでホスピタリストは急速に増えており,現在では循環器内科医と同等の数になっているそうです.

ホスピタリストの位置づけとして,次のように紹介していました.
(汚いメモの,移りの悪い写真ですみません)


超高齢化社会が迫っている日本でも,総合医の役割が大きくなることは間違いないでしょう!
                                                                                                 総 合 : 吉   岡