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2011年12月28日水曜日

総合診療部仕事納め

今日は、仕事納めでした。

今年も1年があっという間でした。

研修医の先生方も3か月お疲れ様でした。

ゆっくり休んで、来年もがんばりましょう。

hirotaki

2011年12月17日土曜日

学生さんの感想を また一部 紹介させていただきます.


Aさん

外来診療のポイント(レクチャー)では、入院患者さんの診療と外来診療を比較することで、わかりやすかったです。外来では、診断がついていない点・患者さんが帰ってしまう(時間が限られている)点・ニーズを知るという点がとても大きいということを再確認しました。

他の科の外来と比較して、いろいろな社会的背景を持った患者さんがいらっしゃっていて医師としてだけでなく、一般の大人としての対応の難しさを感じました。仕事が症状の改善を妨げたり、来院出来なくしたりするので、そのような話も聞いていかなければならないと思いました。


Bさん

患者さんの住所をチェックされていることに驚きました。ほかの科でもされることかもしれませんが、プライマリケア医は、通院しやすいかどうかなどを考慮して、より患者さんの生活によりそって医療を行うのだという印象を受けました。

患者さん全員に対して先生方がしっかり把握しようという意識が感じられました。そして、自分が診察していない患者さんでも、実際に診察した先生と同じ印象を持っていることに感心しました。自分もカルテを書く際やプレゼンを行う際は、自分が持った印象がきちんと伝わるように意識しようと思います。
 
 
Cさん
 
バイタルサインはルーチン的で今まではつい流しがちだったのですが、総合診療部での外来実習で、問診よりも先に手に入る情報なので、自然と気を配るようになり、その数値から患者さんがどの様な状態なのか「想像する」きっかけとなりました。
 
先生方も全員優しく、本当に楽しい実習でした。3カ月総合診療部で実習すれば問診やプレゼンの勉強だけでなく、国試に必要な知識もかなりつくのではないかと思えるぐらい勉強になりました。1日祝日を挟んだのがもったいなく感じるほどでした。
 
(※ 総合診療部の学生実習は残念ながら2週間です)

                                        担当:吉岡
 

2011年12月12日月曜日

総合診療・ウェブ・カンファレンスのご案内

日 時:平成23年12月16日(金18:00-19:00

場 所:総合診療部 医師室(病院2階)


テレビ会議システムを用いた,症例検討会です.
臨床推論(診断学)を学ぶのに,有用なカンファレンスです.
研修医の皆さんの,多数のご参加をお待ちしております.


参加施設:佐賀大学 総合診療部
富山大学 総合診療部

2011年11月20日日曜日

日本内科学会 九州地方会(佐賀)

今日は日本内科学会の九州地方会(佐賀開催)です。
私も発表させていただきます。演題は

「B群溶連菌による感染で,全身諸臓器に膿瘍などを生じた1例」 です。

感染性眼内炎、化膿性膝関節症、腸腰筋膿瘍、椎体炎・椎間板炎、
(感染性)腹部動脈瘤を合併し、治療に難渋した症例です。


プログラムを見ると、現在当科でも診断に難渋している「IgG4関連疾患」に
関する演題が3題出されています。

また、先週外勤で遭遇した「たこつぼ型心筋症」に関する演題も3題あります。

他にも、昨年当科で経験した「メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患」の
報告が1題あります。


出来るだけ、たくさん勉強してきたいと思います。

                                   総合:吉岡

2011年11月16日水曜日


総合診療・ウェブ・カンファレンスのご案内

日 時:平成231117日(18:00-19:00

場 所:総合診療部 医師室(病院2階)


テレビ会議システムを用いた,症例検討会です.
臨床推論(診断学)を学ぶのに,有用なカンファレンスです.
研修医の皆さんの,多数のご参加をお待ちしております.


参加施設:佐賀大学 総合診療部
富山大学 総合診療部



2011年11月6日日曜日

ティアニー先生

先週,ティアニー先生の講演を聞きにいったので,簡単に報告します.
(提示された症例を,ティアニー先生が解決していくというものです)

症例は30代,男性
20年来のScがあり,プロブレムは1週間持続する発熱です.

まず先に,Scのため病歴が十分に取れていないかもしれないことを
ティアニー先生は強調されました.

次にサルコイドーシスと診断された既往があるという情報から,
「サルコイドーシスと診断されて,実は結核だったという症例を
 2例見たことがあるけど,そんなことはないよね?」
と,早くも核心をつく発言あり.経験豊富であることが分かります.
また,「前医の診断を鵜呑みにしてはいけない」 ことに気付かされます.

さらに「肉芽腫性疾患には100種類以上ある」とのこと.
病理にも詳しいティアニー先生,おそるべしです.

身体所見ではリンパ節腫脹を認めるのみでしたが,5年前の生検結果を
取り寄せると,結核も完全には否定はできないとのコメントが・・・

クオンティフェロンは弱陽性でしたが,「診断的治療始めた方がよいで
しょう」とティアニー先生.

実際に治療を始めたところ,翌日には解熱!
見事な問題解決でした.

他にも,
「本当にScなのか?,Willson病が隠れていてSc様に見えることがある」
「精神疾患の患者は他の病気を合併していることが多い.まっさらな目で
 見ることが大事」
など,いくつかのパールを披露してくれました.

ティアニー先生は世界でも著名な先生で「診断の神様」と呼ばれています.

英語が苦手なので,通訳なしではわかりませんが,「世界の一流」に触れる
機会はそうないので,みなさんも一度「世界の一流」に触れてみることを
お勧めします.


                                                                      総 合 : 吉 岡

2011年10月23日日曜日

総合を実習した学生さんの感想を紹介させていただきます.


<外来カンファに対して>

先生方の前で毎日プレゼンをするという経験は今までの科ではなかったので、最初はプレゼンの内容や言う順序を考えるのにとても時間がかかり、昼休みを費やしていました。しかし、毎日繰り返すうちに話す手順はもちろん、強調すべきところと省略すべきところの違いが少しずつわかるようになり、さらに、自分なりにアセスメントしたり、プランを考えたりできるようになりました。

先生方が温かく聞いてくださり、プレゼンに足りない点を指摘してくださるので、次の日にすぐまた生かすことができて毎日自分の成長を実感することができました。研修医になってからもですが、これからの医師としての人生でプレゼンテーションは絶対に不可欠な技術だと思うので、本当に感謝しています。

<学生カンファ(PBL方式)に対して>

実際その日に総合外来に来られた患者さんの症例に対してPBLを行うことで,みんなで症例を共有できたと思う。自分が患者役になってほかの学生に質問されるときに、このことを聞いてほしいのになぁということがいくつかあり、実際に自分が問診をするときのヒントになったと思う。

<病棟実習(身体診察)に対して>

聴診するとき、はじめは何も考えずにするとあまり異常が感じられなかったけれど、先生から心雑音が聞こえると教えてもらって聞くと確認することができたので、異常がないか疑いながら注意して聴診することが大切だと思いました。

<バイタルサインのレクチャーに対して>

実習が始まったばかりの時は問診をとるだけで精一杯でした。しかし、この講義でバイタルサインの重要性がわかり、自分で患者さんの脈をとったり呼吸数を数えてみようとするようになりました。そうすると、それまでは気づかなかった呼吸の浅い深い、脈の強さ、四肢の観察まで気になりだして身体所見がより充実するようになりました。

講義の中で特に印象的だったのは体温と心拍数の関係のところです。この講義があった日にたまたまwebカンファレンスでレジオネラ肺炎の症例を習っており、その症例も比較的除脈だったので実際の症例とセットで覚えれて二度と忘れないなと思いました。また、その日熱がでていた友達の脈を数えて、「今の体温はだいたい何℃くらいだ」などと推測したりして講義内容がすぐに役に立ったのでとてもうれしかったです。

今まで、発熱と聞いたら、安易に感染と考えていましたが、そうではなく、その他の疾患を忘れないようにしなければならないと思いました。特に薬剤は忘れやすいので気をつけようと思いました。また、発熱も単に発熱と片付けるのではなく、寒気の有無や熱型なども聴くことに気をつけようと思いました。今まで呼吸数ついてあまり気にしていませんでしたが、バイタルから得られる情報は多いとしり、これからは忘れないように気をつけます。

<身体診察のレクチャーに対して>

患者さんの様子や顔や手をみただけで多くの病気を診断できることを学び、自分が普段患者さんの話を聞くことで手一杯で、患者さん様子をよく見ていなかったことに気付くことができ、これからは話を聞くだけでなく、しっかり患者さんの様子を見て、また診察で見逃しやすい診察を忘れないように心がけていこうと思いました。

これまでの実習ではいつも、診断がすでについていて、その疾患名からでてくる症状を確認する作業しかできなかったので、あと1週間の総合診療部での実習で少しでも多くの身体所見を自分で発見して、そこから疾患を想起できる練習ができたらなと思います。

<地域医療にレクチャーに対して>

主に坂西先生が北海道幌加内町で体験した地域医療を例に、プライマリ・ケアや地域医療についての講義をうけました。現在自分たちが実習をしているような大学病院を受診する患者は、病院に行く患者の約1/250で、一般的な患者(疾患)ではないということ、一般的な疾患が幅広く診れるような医師が不足しているいうことを学びました。

私の地元は○○県の田舎で、幌加内町ほどではありませんが、同じく地域医療を必要としています。今回の東日本大震災などの災害の場でも、即戦力として必要とされるのは、幅広く患者を診れる医師だと感じました。自分が将来どのような医師を目指して、そのためにはどのような知識や技術が必要とされるのか、改めて考える機会になりました。

<その他,実習全体を通しての感想>

問診やショートプレゼン、学生カンファなど、実際に自分たちが参加できることがとても楽しかったです。

これまで実習で回ってきた科との大きな違いは、診断に至るまでの過程を学んだことでした。今まではほとんどが治療の勉強だったので、より実践的で興味深く感じました。

「患者さんからお話しを聴く」「鑑別診断を考えて治療を考える」「プレゼンする」
これらは医師として絶対に必要な技術ですが、これまでは1科で1~2回しかできなかったために向上している実感があまりありませんでした。ひたすらこれらを毎日繰り返した総合診療部での実習は自分の成長を感じられてとても毎日が充実していました。身体所見のとりかたも今まで知らなかったことをたくさん教えていただき、視野が前より広がった気がします。


※ 感想の一部を抜粋しました.

                      総合 : 吉 岡   

                            

2011年10月19日水曜日

かなり久しぶりに投稿させていただきます.

今回は総合診療部の5年次生臨床実習の教育について紹介したいと思います.

総合診療部では以前より教育に力を入れており,総合診療部出身の小田先生や江村先生が,学生教育および研修医教育で活躍されています.
もちろん,5年生の臨床実習(ポリクリ)でも教育に力を入れており,午前中は外来実習として学生に初診患者の問診をとってもらい,その内容を担当医にプレゼンテーションし,鑑別疾患を考えてもらいます.鑑別疾患を想起した上で,医師の問診と診察を,また医師が検査・治療方針をどう決めるのかを見学してもらっています.そして昼の外来カンファレンスで再度プレゼンテーションしてもらい,ドクターを中心に討論しています(さすがに学生には討論に参加するだけの知識が十分にありませんが,いろんなドクターの考えを聞いて学ぶことができます).

問診をとるだけでも,医療の一翼を担えたという充実感が得られるため,この外来実習に対する学生からの評価は高いです.また実際の症例はPBLで習うような典型的症例とは違い,学生にとって新鮮なようです.

最初は0~2個しか鑑別疾患を挙げられなかった学生が,2週間目には4つくらい(?)は鑑別疾患を挙げられるようになり,問診も落ち着いて聴取でき,そつなくプレゼンテーションができるようになると,教育する側としても学生の成長を目の当たりにすることができ嬉しくなります.このような外来実習は佐賀大学総合診療部の誇るべき特徴であり,今後も大事にしたいと考えています.

午後は主に講義を取り入れており,まずは医療面接のコツ(挨拶,信頼関係の構築)から問診のコツ・診断のコツ(診断推論)を講義し,特に問診の重要性を強調しています.問診だけで7~8割方診断をつけ,感度・特異度の高い身体所見と検査所見を用いて確定・除外診断することを教えています.近年の医療界では安易に検査を行う傾向がありますが,問診と身体所見を大切にし,検査をするにしてもしっかりとした目的を持って検査を行うよう指導しています.

他にも,今まで当たり前すぎて教育されてこなかったと思われる,プレゼンテーションのコツやバイタルサインのとらえ方,身体所見のとり方もレクチャーするようにしており,市中病院でプライマリ・ケアを実践している先生方の協力も得て,症候学や感度・特異度のレクチャーをしてもらったり,プライマリ・ケアの実際を学生に紹介してもらっています.
さらに空いた時間に病棟実習として,総合診療部に入院している患者さんの診察を医師と共に行うことで,身体所見のとり方などの実技指導も行っています.

このような総合診療部の実習に対する学生の評価は非常に高く,学生のアンケート調査でも他科と比べて突出した評価を得ています.今後も医局員と共に,よりよい実習にしていきたいと考えています.

(学生実習のスケジュールも貼り付けておきます)

追記:
学生実習だけでなく,研修医への教育にも力を入れており,上記内容だけでなく,実際の臨床現場で役立つ研修医向けのレクチャーを毎週のように行っています(今後は全研修医向けのレクチャーにしたいと考えています).

                                         吉 岡


2011年10月11日火曜日

日本プライマリ・ケア連合学会の秋季セミナーに参加しました

 

連休中に東京のお茶の水で開催された日本プライマリ・ケア連合学会の秋季生涯教育セミナーに参加してきました。

 

僕は1日しか参加できませんでしたが、2日間に渡り様々なレクチャー、ワークショップがありました。

定員制のため事前申し込みが必要で、特に人気のコースは早めに定員になってしまいます。

 

僕は、『ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics )を体験しようーALSO-Japan デモンストレーションコースー』と『高齢者の身体診察』に参加しました。

 

ALSOは産科におけるACLSと言ったもので、周産期救急の基礎を学ぶ本来のコースは2日間になりますが、今回はそのminimal essence ということで3時間で「正常分娩」「肩甲難産」「分娩後大出血」についてのレクチャー&実技がありました。

 

分娩について、じっくり習ったのは学生以来だったので、とても勉強になりました。

 

米国では、地域によっては「家庭医」の先生がお産を扱うこともあるそうです。

日本では、さすがにプライマリ・ケア医が直接扱うことはないと思いますが、離島・へき地や飛行機内など緊急時は関わる機会がないとは言えません。

 

BLSACLSのように学生や研修医時代に全てのひとがALSOコースを受けられるといいなと思いました。九州では長崎医療センターで開催されるそうなので、僕も本コースを是非受けたいと思います。
 
ALSO-Japan についてはこちらを http://www.oppic.net/item.php?pn=also_japan.php
 

 

『高齢者の身体診察』はドクターGでおなじみの水戸地域医療センターの徳田安春先生によるワークショップでした。

 

症例ごとに参加者が31組でディスカッションしながら、ワークショップが展開されました。

今回は高齢者でおさえておくべき身体所見について、様々なパールが惜しげもなく伝授されました。

 

身体診察ってほんとに奥が深いと思いました。内科って楽しいです。

資料もたっぷりいただいたので、しっかり復習して佐賀の学生・研修医にも伝えたいと思います。

 

秋季セミナーでは同時開催で震災シンポジウムもありました。

レクチャーの都合で、残念ながら参加できませんでしたが、当講座のスタッフが参加してくれたので間接的にその内容を聞きました。

震災の現場は、現在は避難所から仮設住宅での生活・医療サポートが課題となっています。

日本プライマリ・ケア連合学会の東日本大震災支援プロジェクト(PCAT)については、こちらhttp://www.pcat.or.jp/ をご覧ください。
医学生の参加も可能で、佐賀大学医学部の学生さんもこれまでに3名参加してくれています。

 

次回は11月に大阪で秋季生涯教育セミナーが開催されます。

ぜひ、多くの方に参加してもらいたいと思います。

http://www.primary-care.or.jp/gmeeting/c_seminar20111105.html

 

(坂西雄太)

 



2011年9月23日金曜日

総合診療・ウェブ・カンファレンス


症例:検討中
日 時:平成23年9月29日(木)18:00-19:00
場 所:総合診療部 医師室(病院2階)

テレビ会議システムを用いた,症例検討会です. 
臨床推論(診断学)を学ぶのに,有用なカンファレンスです.
研修医の皆さんの,多数のご参加をお待ちしております.


参加施設:佐賀大学 総合診療部
       富山大学 総合診療部
       他

2011年7月26日火曜日

総合診療・ウェブ・カンファレンス


症例:検討中
日 時:平成23年7月29日(金)17:30-18:30
場 所:総合診療部 医師室(病院2階)

テレビ会議システムを用いた,症例検討会です.
臨床推論(診断学)を学ぶのに,有用なカンファレンスです.
研修医の皆さんの,多数のご参加をお待ちしております.


参加施設:佐賀大学 総合診療部
       富山大学 総合診療部
       他

シンポジウム『わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える』のご報告

ご報告が遅くなりましたが、7月2日に札幌で開催された第2回日本プライマリ・ケア学会学術大会のなかで佐賀大学病院 総合診療部と地域医療支援学講座の共同企画によるシンポジウム『わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える』を行いました。

 
札幌で土曜日の朝9時からという早い時間にも関わらず多くの方にお越しいただきました。
シンポジウムは全体で90分しかなかったため、5人のシンポジストのみなさんに10数分ほどずつお話しいただき、最後はフロアとのディスカッションを行いました。

以下、各シンポジストの皆さんのお話の一部を簡単に箇条書きで述べたいと思います。

 
薗部友良先生(日赤医療センター小児科顧問、「VPDを知って子どもを守ろう。の会」代表)

小児がんでさえ7割治る時代に、ワクチンで防げる病気(VPD)に対してワクチンをしないのはネグレクト。
日本のワクチン行政の問題の根本は、実は「司法の考え方」が大きい。無過失補償制度が必要。

WHOは先進国では水痘やムンプスの定期接種を勧めているが、日本では任意接種。水痘でも重症化すると死亡例もある。

マスコミの報道は「有害事象」をすべて「副作用」として扱っているが、真の副作用とそうでないものの区別必要。真の副作用であるアナフィラキシーショックは、ワクチンの材料にゼラチンを使用しなくなってからは減っている。重症免疫不全(SCID)の子どもは、周りの子供たちがワクチンを打って、ワクチンを打てない子供たちを守るべき。

ロタウイルスのワクチン(ロタリックス)が昨日(7月1日)に日本でも承認された。2-3か月後に発売予定。

「VPDを知って子どもを守ろう。の会」のホームページでは、ロタウイルスワクチンも含めたワクチン接種スケジュールを公開している。


岩田健太郎先生(神戸大学 感染症内科)

先日、不活化ポリオワクチンとヒブ、肺炎球菌ワクチンの同時接種を小児科医に断られた。
その医師は、子どものためを考えてではなく、自己の保身を考えているのではないか。

子どもではなく、自分の安全に目が向いている(詳細は岩田先生のブログ参照)。

海外では、同時接種で使用されているものを、日本で同時接種できないのはおかしいのではないか。

ワクチンに限らないが「もし、〜〜が起こったら、誰が責任を取るんだ」ということに怯え、思考停止に陥り、自主規制してしまう人が多い(これは放送禁止用語にも言える)。

医師として、プロとしての誇りと責任をもって、同時接種をしてほしい。

 

高畑紀一先生(「細菌性髄膜炎から子どもたちを守ろう」会 事務局長)

ワクチンを受ける子どもの親の立場から。

子どもが3歳のときにヒブ髄膜炎にかかった。のちにヒブワクチンのことを知り、「ワクチンがありながら、守ってあげられなかった」と自己を責めた。

わが国での悪しきパターナリズム。「国がしていないから、必要性が低いハズ」と自分で考えなくなってしまっている人もいる。

キング牧師の言葉『善意の人の沈黙と無関心』に示されるように、無関心の中間層をどうするかが課題。

「ワクチンの恩恵=何もおこらないこと」なので一般の方に、ワクチンの重要性が伝わりにくい。

また、一般の方の科学に対する認識は「白黒つけてほしい、ズバっとはっきり言ってほしい」と思っている。実際の科学とはそういうようなものではないが、医療者には、そのような一般の認識を意識して説明を行っていただければと思う。
 

堀成美先生(聖路加看護大学)

一般の方は、ネットでワクチンを検索しても、なかなかワクチンの正確な情報にたどり着けない。

とくに任意ワクチンについて(アクセスしやすい形で)情報提供している国の機関や行政のホームページは少ない。情報が不足している。

ワクチンは乳幼児期のみではない。学童、学生にも教育は必要。誰にどのように伝えるか。青年期からは母子手帳やワクチン接種記録を自己管理すべき。

現在、保護者の任意ワクチンの接種希望を医師が否定する困った状況も耳にすることもある。医療者間でも任意ワクチンに対しての認識のズレがある。助産師雑誌でも今回はじめてワクチン特集があった。

プライマリ・ケア連合学会もぜひ、ワクチン接種の指針を示してほしい。


 
で、僕は元・幌加内町保健福祉総合センター長として、
北海道幌加内町における6種(インフルエンザ、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、HPVワクチン)任意ワクチンの公費全額助成(自己負担なし)制度と医師・保健師による住民へのワクチン啓発によって、ワクチン接種率が向上した事例について報告しました。

国による定期接種化が望まれるのは、もちろんですが、それがなされるまでは、地方自治体独自のワクチン政策も必要だと思います。

幌加内町は人口も少なく、より少ない予算で公費助成が行えるのは確かですが、大きな自治体でも予算額そのものの印象で判断するのではなく、一般会計全体に対する割合で判断していただければと思います。幌加内町のワクチン公費助成事業の予算は、町の一般会計の0.1%弱です。

また、いままでは一般市民の方や小児科医や産婦人科医の先生方が必要な任意ワクチンの定期接種化をすすめるべく様々な活動をされてきましたが、プライマリ・ケア従事者の学会である日本プライマリ・ケア連合学会としても、他団体と協力して、ワクチン問題に取り組んでほしいと思います。


その後、フロアの皆さんとの質疑応答・ディスカッションを行いました。

ワクチン接種の手技や制度など実践に関する質問が多いのではと予測しておりましたが、実際は「日本プライマリ・ケア学会として、もっとワクチンについて情報発信すべきではないか」「小児のみならず、全年齢層でのワクチン接種スケジュールを学会として作れないか」「性教育、健康教育時にどのようにワクチン教育を行ったらよいか」「個々のワクチン接種歴の管理には、どのようなツールが有効か」といった前向きな発言・質問が多く、大変議論が盛り上がり、時間が足りないほどでした。

今後、学会としてワクチンについて取り組む際には、積極的に協力すると発言していただいた先生もおられ、皆さん、それぞれに何とかしなければと思われていた方が多いことを実感し、とても希望が持てました。

また個人的には、ついつい「ワクチン制度」や「ワクチン行政」など大きなところに目が向いてしまっていましたが、制度(ハード)に対して、もう一方で大切な住民(国民)へのワクチンに関する情報提供、住民がワクチンに対して不安や不信に思っていることに応えること(ソフト)も大切だということを改めて、学びました。

岩田先生の言葉にあった「それぞれが明日からできることをする」という、基本的なことにも立ち返りたいと思いました。

また高畑さんが言われた「1人が10言ってもなかなか一度には伝わらない。10人が、それぞれの機会で1ずつ話せば、最終的には10伝わると思う」という言葉にも、それぞれの現場での地道な取り組みの大事さを改めて感じました。

プライマリ・ケア連合学会の今回の震災医療支援のプロジェクト名は”Primary Care for All Team” ですが、ワクチンもまさに接種される個人はもとより、集団免疫を上げてみんなの健康を守るという”Vaccination For All” でもあります。

学会としての取り組みのためには、その準備等、少し時間がかかるとは思いますが、小児科医や産婦人科医だけではカバーできない世代も含めて、ワクチンについての情報提供や健康教育についてプライマリ・ケア医が関われることはとても多いと思います。


常に住民側を向いているプライマリ・ケア連合学会としての、これからの動きにとても期待をしています。もちろん、僕らにできることは何でも協力させていただこうと思っています。

(坂西雄太)

2011年7月1日金曜日

札幌 プライマリ・ケア連合学会でシンポジウム&ポスター発表します

お知らせが直前になってしまいましたが(汗)

明日から札幌で行われる第2回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で
総合診療部&地域医療支援学講座の合同企画のシンポジウムとポスター発表を行います。
 
明日(7月2日土曜)のシンポジウムは以下のとおりで、ワクチン行政とプライマリ・ケア医の役割をみんなで考えよう!というものです。
企画した自分で言うのもなんですが、素晴らしいシンポジスト(あ、僕以外ですよ)をお呼びしていて、日本のワクチン行政をいろんな角度から考えることができると思います。
 
なるべくフロアとのディスカッションにも多くの時間を割きたいと思っています。

そして、今後プライマリ・ケア学会としてもワクチンに対して、より積極的に一般の方や医療者に情報提供を行うようになってくれればという願いも込めています。 

7月3日(日曜)には、東日本大震災 支援活動のポスター発表もいたします。
僕はPCAT涌谷で参加させていただいた『地域連携型 医療的避難所「ショートステイベース(SSB)」』について発表します。
 
 PCAT以外の活動報告もあります。ポスターは土曜日から掲示されますので、ぜひご覧ください。

 札幌で全国のみなさんにお会いできるのが楽しみです!

 以下、学会HPよりシンポジウムとポスターの詳細です。

 企画名

 【シンポジウム2】

わが国のワクチン行政とプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える
(佐賀大学 総合診療部、地域医療支援学講座 共同企画)
日時 7月2日(土) 9:00〜10:30
会場 ホールC  3階 ロイトンホールAB
 
開催の目的
 限りある医療資源のなかで予防医療とりわけワクチンは重要である。
しかし、わが国のワクチン行政は世界の動向よりはるかに遅れており様々な問題を抱えている。
 
小児科医や産婦人科医とともに、地域医療の担い手であるプライマリ・ケア医こそ、この問題と向き合う必要がある。
ワクチンの意義とわが国のワクチン行政の問題点を理解し、これからのプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える。


対象
医師、看護師およびメディカルスタッフ、行政関係者、学生、地域医療・母子保健・健康教育に関心のある全ての方々

司会  杉岡 隆 (佐賀大学医学部地域医療支援学講座)

シンポジスト
薗部 友良 (日本赤十字社医療センター小児科、「VPDを知って子どもを守ろう。」の会 代表)
岩田 健太郎 (神戸大学病院感染症内科)

堀 成美 (聖路加看護大学 看護教育学)

高畑 紀一 (細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会)

坂西 雄太 (佐賀大学医学部地域医療支援学講座、前・幌加内町保健福祉総合センター長)


企画概要
 医師、教育学、市民より専門家を招き、わが国のワクチン問題について多角的に検討し理解を深める。
またプライマリ・ケアの現場での医療機関と行政の連携による取り組みも紹介する。

シンポジウムの後半では、シンポジスト同士や会場とのディスカッションを行い、これからのワクチン行政におけるプライマリ・ケア医の担うべき役割を考える。

各シンポジストには以下について講演していただく。

薗部友良先生および岩田健太郎先生には、それぞれ小児科医、感染症科医の立場から、ワクチンで予防できる病気(Vaccine Preventable Diseases:VPD) に対するワクチンの意義やわが国のワクチン行政の制度上の問題点などについて。

堀成美先生には看護教育学の立場から、市民への健康教育やワクチンに関する情報提供のあり方などについて。

高畑氏には細菌性髄膜炎から子どもたちを守ろう会のこれまでの活動や、患児の保護者としての想い、市民と医療職、行政との連携などについて。

坂西は6種(インフルエンザ、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、ムンプス、HPVワクチン)任意ワクチンの公費全額助成を実現した北海道幌加内町の取り組みを紹介する。


 
【東日本大震災 支援活動ポスター】
 
企画概要
2011年3月11日、日本をおそった東日本大震災。
本学会ではいち早く「東日本大震災支援プロジェクト PCAT(Primary Care for All Team)を立ち上げ被災地の支援を継続しております。

今学術大会には実際に現地に向かわれた保健・医療・福祉職の皆様そして、まさしく現地で復興のため日夜がんばっていらっしゃる方も参加されることと存じますので、現地での活動を写真などの記録を交えて紹介するポスターセッションを企画いたしました。

会場は市民公開講座の会場の目の前です。一般の方にも私たちプライマリ・ケアに携わるものの仕事を知っていただく機会にもなると思います。

 
ポスター展示場所
ロイトン札幌 3階一般ポスター演題と同様のフロア
時間
【ポスター掲示】 7月2日 8:30〜13:30

【発表時間】   7月3日 9:30〜10:30

【ポスター撤去】 7月3日 15:00まで

(坂西雄太)

2011年6月17日金曜日

★総合診療医局説明会のご案内★

総合診療部医局説明会のご案内

 

新緑の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、下記の日程で総合診療部の医局説明会を開催します。

専門診療が発展した現代ほど、地域から実力のあるプライマリ・ケア医(良医)を要望する声が多くなっています。佐賀大学総合診療部は、将来プライマリ・ケアに関わる家庭医療、地域医療、総合診療に進みたいと考えている医師を大事に育成してきました。日本ではまだまだ現場の医師は不足しています。私達は多くの若い皆さんがプライマリ・ケアの領域に進むことを希望しています。総合診療部はそのような熱意ある医師を育て、応援するための教育、研究をする部門です。

興味のある方は、是非ご参加下さい!

                    記

日時:2011624日(金) 1830分より

場所:総合診療部医師室(病院2階)

 

当日説明会の後に、食事会を予定しています。(20時頃より)

関連病院で勤務中の先生方にも参加していただく予定ですので、大学病院以外のお話などもできるかと思います。是非、気軽に遊びに来てください。

ご参加のご連絡、不明な点などがありましたら以下の連絡先まで。

 

連絡先 総合診療部医局 0952-34-3238

2011年6月8日水曜日

PCAT(日本プライマリ・ケア連合学会 東日本大震災支援プロジェクト)に参加しました

地域医療支援学講座ブログに掲載したものと同文ですが、こちらにも転載させていただきます。


また、災害医療的には慢性期に入っている石巻圏の現状、医療支援の活動内容を皆さまに知っていただきたく、その活動報告会を企画いたしました。

対象は主に医学生(医学科、看護科)と研修医としていますが、一般職員の方にも是非お聞きいただければと思います。

『東日本大震災医療支援ボランティア活動報告会』

日時  2011615日(水)18:30〜19:00
場所  佐賀大学医学部 臨床大講堂(医療安全講習会終了後、自由参加です) 
報告者 地域医療支援学講座 総合内科部門   坂西雄太

以下、転載です。
523日より529日まで日本プライマリ・ケア連合学会の東日本大震災支援プロジェクトPCAT : Primary Care for All Team、ピーキャット)に参加しました。

僕らが所属している、日本プライマリ・ケア連合学会は

『プライマリ・ケア(家庭医療・総合診療)の学術団体として特色ある災害支援を行うべく,医師をはじめとする多職種の医療専門職で構成された災害医療支援チームを被災地に派遣することを決定し(中略)プライマリ・ケアの能力を最大限に発揮し,被災者の避難生活を医療の面から包括的に支援する活動を続けています。私たちの最終目標は,地域の保健・医療・介護職の皆さまが元通りの力を取り戻されるまでのご支援です.それぞれの地域の特性や人脈を最大限尊重し,支援者目線の支援に陥らないよう,被災地の方々が真に必要とするニーズを探り出し,柔軟に対応し,支援と協働を提供しています』(学会HPより抜粋、引用)

PCATは①現地の医師(在宅診療含む)の代診②避難所の医療支援の2つを柱に活動を行なっています。

現在、主に岩手県藤沢町ハブ(宮城県気仙沼市で活動)、宮城県涌谷町(わくや)ハブ(宮城県石巻市で活動)、福島県天栄村ハブ(同村国保湯本診療所医師が活動)で活動を行い、現在までにのべ200人強のスタッフを派遣しています。
また在米医療者による災害地支援NPOであるProject HOPEの活動に対して、今回PCATが受け皿となり、Project HOPEからの在米日本人医師・看護師の皆さんとも一緒に活動しています。

僕は前日の522日にPCAT派遣前研修を東京で受け、被災地における様々なケア、そして支援者自身のメンタルケアなどについてレクチャーを受け、グループ学習をしました。また今は災害サイクルが亜急性期から慢性期に移行し、外部からの医療支援が徐々に撤退している中での医療ニーズについてもレクチャーを受けました。そのなかで、前述のようにあくまで現地のニーズ、継続性を常に考え、支援者のエゴを押し付けないようという意味での『最高ではなく、最適を』という言葉が印象的でした。

涌谷ハブでは現在、以下のプロジェクトが行なわれています。
①遊楽館の医学的管理と運営
 介護を要する方(介護保険の要介護者)の『福祉的避難所』である「遊楽館」における医師、薬剤師、コメディカルスタッフの派遣と各部署におけるシステム構築、他職種チーム医療の実践。遊楽館内における医療管理面、また石巻市役所、石巻市立病院と他団体との調整役として大きな役割を担っている。
②石巻/河北地区における在宅診療
 JIMNetの在宅看護ネットワークと協力体制を組み、石巻河北支所からのニーズに沿った在宅医療への介入。また地域開業医の在宅診療代診の実施。
③石巻圏における検視と死体検案業務
 石巻警察と石巻医師会への協力業務。事件性の薄い案件に限り、可能な範囲において協力体制を継続していく。
④医療避難所「ショートステイベース(SSB)」における地域連携型医療活動及びその医学的管理と運営 
 民間病院内にある一時的避難所「ショートステイベース」への介入。災害本部より医学的管理を要する避難所の定点活動要請を申し受けた。災害本部、施設提供先、また行政機関との相互協力体制を維持しながら、地域特性と都度、災害復興ニーズ変化に柔軟に沿うことのできる避難所施設の運営を目指す。関係機関などを含め地域連携機能を高める事で、より多くの医療を必要とする被災者の方のクッション機関となれるよう現在プロジェクトを計画進行中。日中PCAT医師駐在夜間オンコール体制、看護師2交代制勤務実施中。
⑤石巻圏のリハビリ在宅診療
 宮城県保健所からの要請に沿い理学療法士のサポート業務、また河北エリア等の石巻圏内における在宅リハビリ診療と住環境アセスメントを実施。
⑥健康調査RHITEプロジェクト
 当学会指定避難所2か所における健康調査、その結果返しを実施。
⑦PCOT及び日本助産師会の母子健康保健活動
 PCOT医師と助産師による石巻圏内における母子健康のニーズ調査と介入日本助産師会より派遣された助産師による東松島市圏内における新生児自宅訪問

石巻圏では、いまでも160ヶ所以上の避難所に50006000人近くの方が、公的な避難所以外で生活をされている方を含めると1万人ほどの方が自宅以外での生活を余議なくされています。
(※6/8追記:6/7現在の石巻圏の避難所数115か所、避難者数:5926人)
石巻のエリアを1-14ケに分け、各救護班(各地の日赤や公的および民間の医療施設・団体による医療チーム)エリア内の避難所を担当します。毎日18時から石巻日赤病院で救護班合同ミーティングが行なわれ、災害本部からの通達や情報共有がなされています。

僕はProject HOPEからの医師・看護師の皆さんとともに上記④の医療的避難所「ショートステイベース(SSB)」での業務を1週間させていただきました。このSSB4月上旬から設置されおり、高度の医療が必要ではないが、医療・社会的理由から避難所での生活が困難な方が一時的に入所する医療的避難所で、いままでの日本の災害地にはなかったコンセプトの避難所だと聞きました。とくに初期は地域の医療機関が再開されておらず、各避難所から直接、石巻日赤病院に患者が集中し、日赤の機能を上回ってしまったため、避難所と石巻日赤との中間(クッション)施設としてSSBが開所されたそうです。
で、最近まで様々な医療救護班が午前・午後と入れ替わり立ち替わり、SSBを担当していたのですが、今回525日よりPCATが全面的にSSB業務を担うことになりました(531日まではジャパンハートからの看護師と協働)。
施設はそれまで利用が休止されていた民間病院の病棟を借用しています。
PCATSSB業務を引き継ぐに当たり、再度、その統括機関である石巻日赤病院はじめ関係各者と協議し、現地の医療・福祉的ニーズと現在のSSBの施設的な問題点などを確認し、今後のSSBの方向性を決定しました。
またSSBはあくまで「避難所」であり、入所者の食事は石巻市から配給になるため、PCATが連携している日本栄養士学会のボランティアに依頼し、食事内容について介入していただくことになりました。

現時点でのSSB入所対象者は主に以下のとおりです。
①数日〜数週間の点滴・内服・安静や簡単な処置が必要な入所者
(入院患者が直接、避難所などに戻れない場合の一時的待機も含む)
②原則として10歳以上(付き添いがあれば、10歳未満児も検討)
③隔離が必要な感染症、感染症が疑われる入所者

また、将来的には地域の医療・介護・福祉関係者だけで、この地域を担われることになるため、PCATの活動がtoo muchになることなく、かつ継続的な地域のネットワークの構築・維持のお手伝いをさせていただけるといいでのはないかと考えました。

今後しばらくは、PCAT活動の原則どおり、あくまで現地のニーズに沿うかたちでSSBを活用することにより、PCATとして石巻圏の医療・福祉をサポートさせていただければと思いました。

1週間という本当にわずかな期間でしたが、現地での医療に関わらせていただき、僕自身はいろいろと学ばせていただきました。

そして、現地に入るまで頭では理解していましたが、現地を見て、被災された方々にお会いして、現地の甚大な被害状況やそこで暮らされている方々の心の痛みとその回復、復興までにはまだまだ時間がかかってしまうことも実感しました。

震災から2カ月以上が経ち、現地の方々の疲れ・ストレスは相当なものだと思います。
また、全ての方が仮設住宅に移れるのは9月になるとも言われ、これからの季節、梅雨や豪雨、夏の暑さの中、避難所での生活が続くことも心配です。

直接的にも、間接的にも、本当に長期のサポートが必要です。

PCATでは医師、看護師など医療者のみならず、医学生の参加も可能です。僕が参加したときも東京医科歯科大学の6年生が参加されていました。佐賀大学はじめ九州の医学生の皆さんも是非、参加してもらえればと思います。
(地域医療支援学講座 総合内科部門 坂西雄太)

2011年4月23日土曜日

カナダへ留学される先生の送別会をしました。

カナダへ留学されるM先生の送別会を引っ越し準備でお忙しい中、行いました。

 留学が決まり、手続きなど大変のようですが、夢がかなって、準備にも力がはいりますね!

M先生は、バイキングが好きという事で、「なお巣」でした。

久しぶり(何年・・・まえ)に行きましたが、歓迎会シーズンでもあり、お店は大盛況でした。 お料理もおいしかった。


留学経験・人生の先輩E先生よりいろいろアドバイスをいただいて、準備万端!!

身体に気を付けて、カナダでの新しい生活、勉強に遊びにエンジョイしてください。



2次会は、カラオケで、皆様の美声を楽しく聴きました。





ひろたき

2011年4月19日火曜日

『第1回 九州家庭医療学春期セミナー』のご報告

ども!
遅くなってしまいましたが、3月末に佐賀大学医学部の学生さんの企画で行われた
『第1回 九州家庭医療学春期セミナー』のご報告を、地域医療支援学講座のブログに載せています。
 
 
セミナーには、本州からも医学生や、講師の医師の方々が参加してくださいました。
 
1日目には、佐賀大学病院・総合診療部から医師が派遣されている
佐賀市国保三瀬診療所と神埼市立国保脊振診療所の見学にも行きました!
 
三瀬診療所では、西先生にいろいろとお話をしていただいて、学生さんたちの食いつきもよかったです(笑)
 
もっともっと、佐賀の学生さんたちにも三瀬、脊振を紹介せんといかんなーと思いました。
 
(さかにし)

2011年4月4日月曜日

「新老人の会」佐賀支部設立総会のご案内

「新老人の会」佐賀支部設立総会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
たくさんの方々のご参加をお願いいたします。


日 時:平成23年4月9日(土)15:00~

場 所:エスプラッツホール 佐賀市白山2丁目7-1

参加費:1500円(お茶付き)

当日の予定

○ 佐賀支部世話人代表挨拶

○ 本部事務局より

○ 講演 松本育夫氏(前サガン鳥栖監督)

○ ご歓談 (佐賀にわか公演:春久一座)

*去る3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により未曽有の津波被害がもたらされました。被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。この機会に東北地方の皆様への励ましとともに当支部において何ができるか会員の皆様とご一緒に考えていきたいと思っております。何卒ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。

*是非、ご友人やお知り合いをお誘いのうえ、ご参加をお願いいたします。



【問い合わせ先】「新老人の会」佐賀支部事務局(株式会社ミズ内)

電話番号:0952-22-7974 担当:入部 江口


ヒロタキ

2011年3月25日金曜日

小泉教授退任記念講演会&祝賀会



3月19日に総合診療部小泉教授の退任記念講演がありました。

お忙しい中、たくさんの方にご出席いただきました。



福井次矢先生、伴信太郎先生に講演をしていただきました。




改めて、総合診療の意義と役割を確かめる機会となりました。

16年余りの単身赴任お疲れ様でした。
















ヒロタキ

2011年3月18日金曜日

大震災に際して3

九電体育館での実務の実際ですが、、、、
 
体育館内での仮設診療所で保険診療を開始することに対しては、市や県の担当者からのOKをいただき、3/22より実際の診療を開始しました。
玄界診療所の看護士さんや市の健康福祉課の職員さんにも、診療介助や受け付けなどのお手伝いをお願いしました。薬に関しては体育館の近くの薬局に処方を一元化し、薬局の方にバイク便で体育館に届けていただくようにお願いしました。薬が配達されたのちに、館内放送で患者に届いた旨をしらせ、受け取りにきていただくシステムを採用しました。
夜間の診療に関しては、福岡市民病院から日替わりで応援にきてくださいました。また医療費に関しては、最初は通常どうり徴収する方向で調整されていましたが、最終的には全額市が負担してくださることになり、後に返却されております。
途中、インフルエンザが体育館内で大流行してしまい、大変憂慮される事態となりました。密集した生活のため、患者が発生すると隔離が困難なのです。明らかに時季外れの流行でありましたが、集団生活を余儀なくされた状況では蔓延を食い止めるのが至難の業でした。またインフルエンザの患者は個室管理が必要となるため近隣の病院も入院の受け入れ体制も十分とは言えませんでした。なんとか近隣の病院のいくつかを入院受け入れ病院として、患者隔離をお願いし、島民にはタミフルの予防投与も同時並行で行うことで徐々にインフルエンザの発生件数は減少。事なきを得ました。
精神的な問題も悩みの種でした。皆自宅は半壊しており、一様に表情も冴えず中にはうつ状態やフラッシュバックに苦しむ島民もおられました。重症患者に関しては出来るだけ私のほうでピックアップし、九州大学の心療内科の先生に診察をお願いしました。
あと玄界島を離れる際に、全島民のカルテを九電体育館に持参したことはその後の診療に大きく貢献しました。
(副島)
 

大震災に際して2

被災地医療に関してですが、初日と二日目ぐらいまでは救急外傷が主体となりますが、それ以降は慢性疾患や感染症の管理がmainに切り替わります。さらにその後は精神的なケアも必要となっていきます。
被災地医療をするにあたり、問題点はいくつもありました。
 
�患者さんは体一つでお金や保険証なども携帯されておられないことが多く、通常の保健医療が提供できない可能性が高いこと。
�そもそも仮設診療所などで保険診療をすること自体の許認可の問題
�保険診療ができない、もしくは患者にお金がないということになれば、例え薬の処方をしたとしても調剤薬局で薬の受け取りもできない可能性がある
�そもそも仮設診療所の周りに調剤薬局があればいいが、なければ被災民はどのようにして薬を手に入れればいいのか。
�患者さんは以前処方されていた薬の内容が不明である可能性があり、以前のdo処方も困難である。
�非常に密集した場所で過ごしているために、インフルエンザなどの感染症が発症すれば瞬く間に全体に伝播してしまうこと。その対応は?
�医師も人間。夜間などの対応まで24時間の患者対応を一人でこなすのは、さすがに自殺行為。夜間などの急患対応をどうするのか。
�検査や薬、点滴などどこまで物品がつかえるのか。その補給は?
�入院や紹介の適応と考えた時の受け入れ先の確保。
 
これらすべての問題がその被災した地域・地域で少しずつ異なり、マニュアル化が困難であるため、その場で対応する医師がそれぞれに考えて対応していくしかないのです。これらの問題をどうするかを思案し、私も3月21日はほとんど眠れませんでした。

2011年3月17日木曜日

大震災に際して1


今回の大震災にて被災した方々には心からのお見舞いを申し上げます。
私も6年前の福岡西方沖地震の際に被災地医療を行った経験がありますので今回はその経験について少し書かせていただこうと思います。
 
〜福岡西方沖地震〜

2005年3月当時、私は福岡の玄界島の診療所で一人院長として勤務しておりました。僻地医療を支えるために2003年の4月から医局からの命をうけての出向でありました。そして平和に二年の月日が流れようとしていた3月20日にあの大地震が島を襲ったのです。島は燦々たる状況で、多数の住宅が傾き、倒壊した家も少なくありませんでした。本土とは比べ物にならないほど住居の被害が大きく、間違いなく本土よりも強い揺れが島を襲ったのだろうと思われました(島に地震計がなく推測でしかないのですが、、、)。地震当日のうちに、全島民避難命令がかかり、全島民は体一つで本土に渡り、福岡市の九電体育館に避難することとなりました。当時の島の人口は700人程度であったと思います。それが、いつ終わるともしれない九電体育館での避難所生活の始まりでした。
私は、妻と1才になったばかりの娘を実家に返し、島民とともに体育館に移動しました。移動早々、市からの要請もあり、私は体育館内で仮設診療所を開設し、避難住民の診療を始めることにしました。3/21に開設準備を行い3/22から診療開始するという慌ただしいスタートとなりました。

2011年3月16日水曜日

震災の影響

三瀬診療所 西です。
 
これまでにない大きな地震、津波、原発事故による影響が、遠くはなれた佐賀でも出始めています。
 
工場や本社が東北・関東にある薬品や物品の入荷がおくれる可能性があり、甲状腺機能低下症の方には欠かせないチラーヂンSが出荷停止になったようです。
 
社会が混乱する中、私たちにできることは何か、冷静に考えていかなければと思っています。
 
 
 

2011年2月23日水曜日

糖尿病学の進歩に参加してきました。

三瀬診療所 西です。
 
2/18(金)・19(土)に福岡国際会議場で開催された第45回糖尿病学の進歩に参加してきました。
 
今年はなんと言ってもインクレチン関連治療薬についてのセッションが多く、非常に勉強になりました。
 
糖尿病学の進歩は糖尿病学会の会員でなくても参加ができ、基本的な内容から最先端の研究まで、内容は生化学から実践的な治療、栄養指導、運動療法、エンパワーメントまで、医師およびコメディカルを対象に構成されています。
 
ほとんどが30分程度のレクチャーに簡潔にまとめられていますので、リズムよく学べます。
 
それから会場では総合診療部の先輩である、沖縄のハートライフ病院糖尿病センターに勤務されているM先生ともお会いして、楽しいランチタイムを過ごしました。
 
今年が福岡で開催されましたので来年は遠方になるかもしれませんが、学生さんや研修医の方など、糖尿病に興味のある方はぜひ参加していただければと思います。
 
 
 
 
 

2011年2月9日水曜日

小泉教授最終講義のご案内

小泉教授の最終講義を下記のとおり開催いたしますので、ご案内いたします。

            記

日時:平成23年2月23日(水)14:30~1時間程度
場所:佐賀大学医学部臨床小講堂(3113)
演題:「総合診療はどこまで浸透したか―『病院総合医』の役割について」

聴講はどなたでもできます。学生さん大歓迎です。

ひろたき

2011年2月4日金曜日

『緩和ケア総合診療マニュアル』

今回は、総合診療部で翻訳した本のご紹介です。
 
昨年10月に出版された


『緩和ケア総合診療マニュアル』(プリメド社)
 
ゲイリー・ジョハンソン 著  
小泉俊三 監訳  
佐賀大学医学部・総合診療部 翻訳

です。

人は誰でも100%亡くなるわけで、その時期が早く来るのか遅く来るのかの違いはあるにせよ、誰しもなるべく苦しまずに死にたいと思っていると思います。
人が死を目前にひかえた一定の期間のことをターミナル(ステージ)や末期と呼ぶことがありますが、このターミナルステージをより豊かなものにするためには、
痛みをはじめ様々な症状を和らげる(=緩和ケア)ことが必要不可欠です。
 
僕らが翻訳したこの本は米国の緩和ケア専門医が書いた緩和ケア診療に関するもので
『Clinicians Handbook of Symptom Relief in Palliative Care』という本の第5版になり、米国では2007年に出版されています。
同書の第4版は1994年に出版され、その翻訳も佐賀大学医学部附属病院・総合診療部で行い1998年に『ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル』というタイトルで出版されています。
 
僕がホロカナイに赴任する前の2005年に著者であるゲイリー・ジョハンソン先生を米国カリフォルニアのサンタローザに訪ね、ジョハンソン先生のホスピスや在宅診療などを見学させていただいたこともあり、編集をさせてもらいました。
翻訳は医局の先生を中心に、佐賀大学病院の小児科や緩和ケア科の先生や看護師さんを含む18名で分担して行いました。
 
緩和ケアにおける様々な症状ごとに章が分かれていて、わかりやすく臨床で使いやすくなっています。
米国の本なので、薬剤の投与量は米国におけるものですが、注釈で日本での投与量も書いています。文献や役立つサイトのURLも載せています。


目次は次のとおりです。

1)ホスピスと緩和ケア 2)コミュニケーションについて 3)痛み 4)悪心と嘔吐 5)食欲不振と悪液質  6)便秘 7)下痢 8)腸閉塞 9)呼吸困難 10)咳そう

11)抑うつ症状 12)不安とせん妄 13)耐えがたい苦痛  14)不眠 15)尿路の症状 16)皮膚と口腔のケア 17)小児の緩和ケア 18)末期HIV感染症

19)末期がんでのステロイド使用 20)持続皮下注入 21)侵襲的鎮痛法 22)その他(痙攣、かゆみ、しゃっくり、高カルシウム血症など)


となってマス。

医学生や研修医、医師、看護師の皆さんにもおすすめです!


以下、出版社(プリメド社)の紹介文です。


『種々の苦痛に幅広い視点でアプローチする緩和ケアマニュアル』 

米国のホスピス緩和医学専門医が,がん末期に伴うさまざまな苦痛緩和を紹介。著者の長年にわたる経験から得られたあらゆるスキルを紹介するとともに,ケアに必要な心構えまでも網羅。豊富な項目と充実した内容にもかかわらず,箇条書きにしたコンパクトな解説文とすっきりしたレイアウトが読みやすい。

”プライマリケアと患者支援の医学書出版”プリメド社HP http://www.primed.co.jp/index.html

(さかにし)

2011年1月28日金曜日

インフルエンザ大流行につき、発熱外来バージョンアップしました!

三瀬診療所 西です。
 
三瀬地区ではインフルエンザが大流行しており、家族内感染も拡大しています。
診療所でも発熱での受診が多く、以前から感染予防には気を配っていましたが、新兵器が届きました!
 
写真はウイルス除去用のヘパフィルターを搭載したパーテーションで、佐賀県の事業で購入。
 
閉鎖空間での使用が望ましいとのことで、写真のように長い突っ張り棒でビニールシートを張り、第2診察室を簡易な隔離空間を作りました。
 
これからの季節、大活躍しそうです。